2024年に18回目を迎えたアートアワードトーキョー丸の内(以下、AATM)は、若手アーティストの発掘・育成を目的に、全国の主要な美術大学・大学院の卒業制作の中から選抜作品展を開催し、これまで500名を超えるアーティストを紹介してきました。
この度、AATM2024のグランプリ受賞者である高田マル氏、三菱地所賞受賞者の朝井彩華氏、そして過去のAATMに参加し現在も活躍を続ける3名のアーティストの作品を展示する「Window Gallery in Marunouchiーfrom AATM vol.2」を開催します。
作品を通じて丸の内出身のアーティストを応援し、世界に羽ばたく機会を提供します。
\ギャラリーツアー開催/
参加アーティストやゲストと一緒に展示作品を見てまわりませんか?
◾️日時
2024年11月30日(土)14:00~15:00(開始5分前にお集まりください)
◾️集合場所
行幸地下ギャラリー(東京駅側エスカレーター下)
◾️ゲスト
薄久保 香氏(現代アーティスト、AATM2007 参加)
◾️参加費
無料(事前申込不要)※定員30名
出展作家
AATM2024受賞者
【AATM2024 グランプリ 受賞】
高田 マル/Mal Takada
日記や手描き文字などの個人的な描写や記述を、公的な場に描いて他者に見せることで、絵を描くという行為とは何かという問いに対する実践をさまざまな方法で深め制作を継続している。
1987年神奈川県生まれ。2009年日本女子大学文学部史学科宗教学専攻修了。2013~2015年美學校にて複数の講座を受講。2016年から展示&対話企画「絵画検討会」呼びかけ人。2020年一人出版社「絵画検討社」発足。2024年京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。主な個展「この花、ダリア、ダリア、ダリア」NADiff window gallery(2024)、著書『忘れられない絵の話 絵画検討会2020-2021』(2022)。
人間はなぜ、いまだに絵を描き、絵を見せ、絵を見ることを欲するのか。
絵をめぐる人間の原初的な衝動や欲求を探るうえで、「絵画」を物質的なひとつの形式ではなく人と人のあいだで起こる出来事として捉え、ごく個人的な描写と記述、公の場におけるそれらの伝達と誤読のなかで何が起こっているのか実践を通して考えている。
言説としての「絵画」は移り変わっていくが、絵を描く行為はどこまでもいつまでも私的だ。私はその私的さに付き合い続けている。
【AATM2024 三菱地所賞 受賞】
朝井 彩華/Iroha Asai
版画技法を用いて、過去と未来を俯瞰するような想像世界の移り変わりを報じるメディアを創出し、架空の文明の変遷を描写する。現代の私たちにも通じるテーマや違和感をユーモアと共に引き出している。
2001年宮城県生まれ。2024年 女子美術大学芸術学部美術学科洋画専攻卒業。主な展覧会に「Reflect 反射 反映 反芻」女子美アートミュージアム、神奈川(2022)、「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」国立新美術館(2024)などがある。
架空の存在したかもしれない文明を創造し、土化の病によりゆるやかに滅亡していく様子を描いている。これらを通して我々の「変化」に対する向き合い方や、人々の生命感の違いを「思考」させようという試みを行っている。
『私たちは崩壊と誕生に飲み込まれながら生きている。「変化」と向き合い「生命」とは何か、思考する』
AATM出身アーティスト
【AATM2015 三菱地所賞、今村有策賞 受賞】
田中 彰/Sho Tanaka
木口木版のような繊細な版技法を軸に、立体作品から人とのコミュニケーションまで幅広く作品を展開している。樹木への関心から派生し、自然を作り出した壮大な時間軸が作品に現れ、魚、コーヒー、昆虫などさまざまなモチーフが作品に登場する。1988年岐阜県出身。2015年武蔵野美術大学大学院版画コース修了。主な展覧会に「VOCA展2024」上野の森美術館(東京)、主な個展に「町田芹ヶ谷えごのき縁起」町田市立国際版画美術館(東京、2019)、「project N 67 田中彰」東京オペラシティ アートギャラリー 4Fコリドール(2017)、「樹について」三菱一号館美術館歴史資料室(東京、2016)などがある。
フィールドワークを通して木の持つ時間や社会における関係性をテーマに木版画をベースに制作。樹木の成り立ちを追っていくうちに森林そのものが形成されたデボン紀に着目するようになりました。現在まで形をほとんど変えることなく存在する、翅のない虫を探すことから始まり、当時最盛期を迎えた海洋生物への興味から釣りを始め、魚類図鑑と魚拓から着想を得た作品を制作しています。釣りは一見すると趣味性の高いものに思われがちですが、人々の生活や地域と深く結びついています。日本各地で釣りをしながら仲良くなった人たちとの繋がりを少しでも残すため、最近は釣りともカードを発行し、ナンバーをつけて配布する活動をしています。
【AATM2013 フランス大使館賞、オーディエンス賞 受賞】
野原 万里絵/Marie Nohara
絵画を描くプロセスを独自に分解することで、描くモチーフや形、線の組み立てかた、それを表すための道具づくりなどを拡張させ独自の絵画を創出している。
1987年大阪府生まれ。2013年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。
主な展覧会に、art resonance vol.01「時代の解凍」芦屋市立美術博物館(兵庫、2023)、「ホルベインスカラシップ成果展2023」N&A Art SITE(東京、2023)、「VOCA展2022」上野の森美術館(東京、2022)、Hikarie Contemporary Art Eye vol.15 3人のキュレーション「美術の未来」(東京、2021)、大阪府20世紀美術コレクション展「彼我の絵鑑」大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco](2021)、個展「埋没する形象、組み変わる景色」国際芸術センター青森(2020)などがある。
絵画を描く際の感覚的で曖昧な制作過程や思考に関心を持ち、絵画を描くプロセスに焦点を当てて制作してきた。これまでは、線や面を描くための雲型定規や型紙などを自作し、木炭や顔料を用いて大型の絵画を描いてきた。近年は、植物や石をはじめとする自然物の造形から着想したり、音や匂い等の目には見えないものから感じとる形状を、多数のドローイングの中で描く。色彩に関しては、インドの1ヶ月間の滞在で感銘を受けた、クトゥブ・ミナールの遺跡の岩や、青森県等の海岸で収集している錦石などをモチーフにしている。また、ワークショップを日本各地で開催し、協働制作による絵画作品も継続して発表。他者と自身を行き来しながら制作することで、絵画の制作や鑑賞方法への新たな可能性を模索している。
【AATM2020 野口玲一賞 受賞】
山口 由葉/Yuiha Yamaguchi
身近にある風景を、躍動感のある筆致と瑞々しい色彩で描く。空や樹々のざわめき、水辺など流れてしまうような一瞬の自然の風景を、油彩によって絵画空間に表出させる。
1992年愛知県生まれ。2020年東京藝術大学大学院修士課程絵画専攻油画 修了。
主な個展に「線をひっぱる」TAKU SOMETANI GALLERY(東京、2023)、「project N 90 山口由葉」東京オペラシティアートギャラリー(2023)、展覧会に「CAF 賞 2019入選作品展覧会」代官山ヒルサイドフォーラム(東京)などがある。港浸會大学アーチストインレジデンス滞在(香港/中国、2018)、第36回ホルベイン・スカラシップ奨学生(2023)
私の絵のモチーフは私の日常の風景であり、具体的なテーマやメッセージ性はとくにない。しかしながら「ある対象を描いている」という意識はとても重要だ。「なにを描くか」は「どう描くか」に直結している。
最終的にどうなるのかを考えてから逆算して色や艶の有り無し、筆の運び方やその順序を決め、描き始める。しかし、描く前にあれこれ考えた計画はその通りにはいかない。一手一手こうなったからこう描こうと反応し、考えながら描いている。初めの一手が何かによって絵は全く変わってしまう。私は考えながら描いた絵具の重なり、それが示すプロセスをもっとも大切にしている。
作品展示にご興味のある方はinfo.aatm@gmail.comまでご連絡ください。